なぜか好きな昔話『はちかつぎひめ』

こんにちは!Toko(トーコ)です。

今日は、桃太郎や浦島太郎ほどの知名度はないけれど、なぜか昔から心惹かれる日本の昔話「はちかつぎひめ」の絵本を紹介します。(以下、ネタバレあります)

御伽草子より 長谷川摂子再話、中井智子絵 『はちかつぎひめ』福音館書店

観音様のお導きで、大きな鉢を頭に被ったまま生きなくてはいけなくなった女の子が、様々な困難に遭いながら、最後は幸せになるという物語です。

この絵本は挿絵がまるで平安絵巻のようで、とても格調高いです。ちょうど現在放映中の大河ドラマ『光る君へ』の世界観と重なります。

美しい姫君なのですが、鉢を被ったことで「異形の姿」となるー魔法で美しい姫や王子が動物に変えられてしまう話は多いですが、鉢を被ることで異形となり、他の人からいじめられる、というのはちょっと特徴的だと思います。そしてとても理不尽でもある。なぜ彼女は人々から疎まれなくてはいけないのかーその理不尽さは、すなわち人生につきものの理不尽さでもあるのかもしれません。

優しかった実母が亡くなり、新しい継母にいじめられるところはシンデレラのようだし、継母が厩番に命じてはちかつぎを野原に捨てさせるところは白雪姫を彷彿とさせます。

はちかつぎは紆余曲折の末、殿様の家で働くことになりますが、そこで4人兄弟の末の息子に見染められます。四男は、はちかつぎの顔は見えないままに、彼女の立ち居振る舞いを見て好きになるのです。

殿様は四男を思いとどまらせようと、上の3人の息子のお嫁さんたちと「嫁比べ」をすることを提案します。この辺りも、他の昔話ではあまりお目にかからない展開で、ハラハラします。果たしてー

四男は、異形の相手を異形のまま好きになるのですが、そこがとっても素敵で、女の子の読者としてはキュンとするところだと思います。考えると、この部分は「美女と野獣」に似ていますね。

日本版シンデレラのようなお話ですが、ヒロインが鉢を被っていて顔が見えないという仕掛けが、物語にオリジナリティを与え、ドキドキハラハラさせてくれます。おすすめの昔話なので、未読の方はぜひ読んでみてください🎶

今日はここまでです。ありがとうございました!